渡航前に日本で行うこと
国外転出届
国外転出届を出すことにより、次年度(すなわち来年の1月以降)の住民税が発生しなくなる。日本からの所得が続く場合は、所得税は払わなくてはならない。
なおこの手続でマイナンバーカードは無効となり、市役所にマイナンバーを提出した際には返納を求められる。また、マイナンバーカードの電子証書も無効となるため、確定申告はeTaxは行うことができず、書類の海外からの発送、国内納税選定人からの郵送が必要となる。
社会保険の手続き
社会保険多くの場合では、日本の住民票を抜くことになるため、任意で国民年金に加入するかどうか判断することになる。国民年金は払済みの保険料に比例して支給額が増えるため、一般的には継続して払い込むほうが有利な場合が多い。
根拠1=年金は将来非課税所得となりうる。
約16000円/月の掛け金で20才から60才まで支払った場合で、65才から80才まで年60万円の支給を受けた場合、計算上はおよそ年利0.3%程度の複利運用と同等となる。年金支給時は65才以上では年120万円までは非課税所得となる。

根拠2=年金掛金は所得控除となる。
国民年金の掛け金は全額所得控除となる。そのため、課税対象の所得額が減ることになるため、税金が減ることになる。例えば課税所得額500万円の人が20万円分年金を収めると実質16万円分の負担で住むことになる(4万円税金が安くなる)。

可能であれば日本での所得が多い留学開始年度にまとめて年金を前納するとより効果的である。(1月から3月分までは支払い可能)
根拠3=社会保障協定
アメリカ、カナダ等の主要国と日本国は社会保障協定を結んでおり、その結果、日本で国民年金を支払っていると、現地で強制加入となる社会保険料があった場合、支払いが免除される。
もちろん、長く海外滞在する予定があり、現地国で年金を得る場合には、この制度を用いることで、掛金支払い実績がなくなってしまうため、社会保障協定は用いずに、現地国でも社会保険を支払う必要がある。ただこの協定を用いることで、日本での加入年数を現地国でカウントすることができる。
現地国の年金支給要件に、支給時点での永住権が必要である場合は、短期間の留学のケースでは現地国での支払い免除を選択する方が、無駄な掛金とならないと思われる。
参考


カナダ年金(Canadian Pension Plan = CPP)の支払額
例えば、カナダの場合、現地雇用先も同額の保険料をCPPに支払っているため(日本の厚生年金と同様の仕組み)、留学生からの社会保障協定の適応の申し出はウェルカムなはずである。なお、ポスドク、クリニカルフェローも基本的にはCPPを支払うことになっている。
さらに。国民年金基金
国民年金に追加して、国民年金基金に加入すると、こちらも支払った額に比例して(加入している年数は支給額、支給資格とは関係ない)、年金として払い戻されるため、留学初年度の国内課税所得額の圧縮に有効である。こちらは月額680000円まで加入ができる。
国民年金基金は任意脱退ができないが、日本で再就職した際に厚生年金等に加入した際は、自動的に脱退となり、それまでに収めていた年金額はちゃんと保存され、その額に応じた年金が支給されるため、心配は要らないと理解している。
リスク
死亡
考えられるリスクとしては、80才といった想定された寿命より早く死去することで国民年金総支給額は減る。
国民年金基金はプランによって保証がつくため、そのプランを選べば、早死の場合も支払額は全額以上は確実に支給されると考えられる。
インフレ
国民年金は物価に応じた調整があるが、国民年金基金は物価調整がないため、もし政府の政策でインフレとなれば、支給額は相対的に減少していることなる。