スクラップ&ビルトの習慣がないイギリスでは、住宅が古く趣きがあるのが、特徴です。そのようなイギリスの住環境に憧れている日本人も少なくないと思います。
しかし、日本では稀な健康への影響がある場合がありますので注意が必要です。
留学生のような移住者がリスクと言われている中毒疾患が鉛中毒です。
(鉛中毒の他のリスクファクターとしては、低所得者、1978年以前の住宅、乳児や異食症、同胞の鉛中毒既往が報告されています)
イギリスにおいては、下記のNHSの資料からも1970年以前の物件の場合、水道管が鉛性の可能性は0ではないと言われています。(物件内の水道管や建物に繋がる水道管)
(アメリカでは1978年以前の建物は鉛中毒のリスクがあると言われています)
https://www.nhsinform.scot/illnesses-and-conditions/infections-and-poisoning/lead-poisoning
下記のイギリス政府の資料からも1960年代の塗料には鉛が含まれていると言われていますので、1960年代以前に建てられた物件で、当時のペンキがそのまま残っている場合はリスクが高いと考えられます。特に、ペンキが剥がれかているような場合は危ないようです。
対策としてはリスクのある古いペンキが剥がれていなければ、新しい安全なペンキを上塗りすればよいようなので、塗り直しがしてあれば、下地に残っていても問題ないようです。(*アメリカでは工事施工会社による完全除去が必要と言われてます。おそらくイギリスでは古い建物が多すぎるため、現実的な対処法に推奨を留めていると私は推測しています)
乳児や妊婦がいる場合は特に注意が必要と言われています。
乳児は低濃度でも影響があるということと、床に落ちているゴミを食べてしまいますので、要注意です。
鉛は吸入や経皮経路でも吸収されますので、粉塵を吸ってしまったり、触るのもリスクになります。
小児の鉛中毒症状
体重減少、食欲不振
腹痛、便秘
聴覚障害
精神発達遅滞、学習障害、脳症
治療としては鉛血中濃度45ug/dl以上ではキレート治療も必要になるようです。
決して不安になりすぎる必要はないと思いますが、上記事項は頭の肩隅にでも入れておいて頂ければ幸いです。
イギリスに限らず、床は綺麗に掃除する事と、半世紀前の塗料の剥がれには注意が必要です。
